空き家を売りたいものの、「どの買取業者に頼めばいいのかわからない」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
空き家の買取業者は数が多く、会社によって得意な物件や対応エリア、残置物の扱いなどが異なります。
なお、査定額が高い業者が、必ずしも好条件で買い取ってくれるとは限りません。
売却後にトラブルになったり、想定外の負担が生じたりする可能性もあるため、金額以外の条件も確認することが大切です。
この記事では、空き家の買取業者を選ぶ5つのポイントをはじめ、買取価格が決まる仕組み、依頼から引き渡しまでの流れ、契約前の注意点を解説します。
空き家の買取とは

空き家の買取とは、不動産会社などが買主となり、物件を直接買い取る売却方法です。
一般の購入希望者を探す必要がないため、仲介と比べて短期間で売却しやすい特徴があります。
仲介との違い
空き家の売却方法には、買取のほかに不動産会社へ仲介を依頼して買主を探す方法があります。
大きな違いは「誰が買主になるか」です。
仲介では不動産会社が売主と買主の間に入り、購入希望者を探します。一方、買取では不動産会社自身が買主となって物件を購入します。
一般的に、買取は買主を探す期間がないため早く売却しやすい一方、売却価格は仲介より低くなる傾向があります。
| 比較項目 | 買取 | 仲介 |
| 買主 | 不動産会社など | 一般の購入希望者 |
| 売却までの期間 | 比較的短い | 買主が見つかるまで時間がかかる場合がある |
| 売却価格 | 仲介より低くなる傾向 | 市場価格に近い価格を狙いやすい |
| 仲介手数料 | 原則不要 | 発生する |
| 契約不適合責任 | 免責とする契約が一般的 | 契約条件による |
買取は売却価格が低くなりやすい一方、売却活動や内覧への対応といった手間を減らせるメリットがあります。
そのため、査定額だけでなく、「いくらで売れるか」「どのくらいの期間や手間がかかるか」をあわせて比較しましょう。
買取が向いているケース
空き家の買取は、次のようなケースに向いています。
- できるだけ早く空き家を手放したい
- 家財や不用品が多く残っている
- 遠方に住んでいて管理が難しい
- 仲介で売りに出しても買主が見つからない
- 売却を急ぐ事情がある
特に、建物の劣化が進んでいる空き家や、家財が多く残っている物件は、そのままでは仲介で売りにくいことがあります。
空き家の買取を得意とする業者であれば、修繕や片付けをせず、現状のまま買い取ってもらえるのが一般的です。
仲介でなかなか売れない場合や、売却に時間や手間をかけたくない場合は、買取も選択肢に入れてみましょう。
空き家の買取業者を選ぶ5つのポイント

空き家の買取業者は、会社によって得意な物件や対応エリア、買取条件が異なります。
査定額だけで判断せず、次の5つを比較して、自分の空き家に合った業者を選びましょう。
- 空き家の買取実績があるか
- 物件があるエリアに対応しているか
- 査定額の根拠を説明できるか
- 残置物や片付けに対応できるか
- 名義や権利関係の相談ができるか
それぞれ解説します。
空き家の買取実績があるか
まず確認したいのが、空き家の買取実績です。
不動産会社であればどんな空き家でも買い取れるとは限りません。
たとえば、居住中のマンションと長期間空き家になっている戸建てでは、建物の状態や残置物、修繕の必要性など、査定するときに確認するポイントが異なります。
そのため、「買取実績が何件あるか」だけでなく、「どのような物件を買い取ってきたのか」まで確認しましょう。
自分の空き家と似た物件の買取実績があれば、査定や売却の相談もしやすくなります。
物件があるエリアに対応しているか
空き家がある地域を買取対象としているかも確認しましょう。
不動産は、建物だけでなく立地によっても価格や需要が変わります。
地域の不動産事情に詳しい会社であれば、周辺の取引事例や土地の需要などを踏まえた査定を期待できます。
反対に、対応エリア外の場合は、そもそも査定を受け付けてもらえないこともあります。
問い合わせる際は、最初に物件の所在地を伝え、買取対象エリアに含まれているか確認しましょう。
査定額の根拠を説明できるか
査定を受けたら、金額だけでなく「なぜその金額になったのか」を確認しましょう。
査定額には、主に次のような条件が影響します。
- 周辺の不動産取引事例
- 土地の面積や形状
- 道路への接し方
- 建物の築年数や状態
- 修繕・リフォームの必要性
- 解体の必要性
高い査定額が提示されても、必ずその金額で売却できるとは限りません。
複数社の査定額とその根拠を比較し、金額に差がある場合は理由を確認しましょう。
残置物や片付けに対応できるか
空き家に家具や家電などの家財が残っている場合は、残置物への対応を確認しましょう。
会社によっては、残置物が残ったままでも買い取ってもらえる場合があります。
一方で、売主側で事前に処分することを条件としている会社もあります。
自分で片付ける場合は、処分費用や搬出の手間がかかります。
特に遠方の空き家では、片付けのために何度も現地へ行く必要があるため、残置物を含めて対応してもらえるかどうかは、業者選びの重要なポイントです。
名義や権利関係の相談ができるか
相続した空き家の場合は、名義や権利関係も確認しておきましょう。
登記上の名義が亡くなった親や祖父母のままになっていたり、複数人で相続していたりすると、そのままでは売却を進められない場合があります。
また、相続人が複数いる場合は、共有名義になっているケースもあります。
不動産会社が相続登記などの手続きを行うわけではありませんが、必要な手続きを案内したり、司法書士などの専門家を紹介したりしてもらえます。
相続した空き家を売る場合は、査定時に現在の名義や相続の状況を伝え、売却までに必要な手続きを確認しておきましょう。
買取価格はどのように決まるか

空き家の買取価格は、土地・建物の状態や周辺の取引状況などをもとに決まります。
また、修繕や解体が必要な物件では、その費用なども査定額に反映されます。
査定でみられる項目
空き家の査定では、主に次の項目が確認されます。
| 査定項目 | 確認される内容 |
| 土地 | 面積、形状、接道状況など |
| 建物 | 構造、築年数、劣化状況など |
| 周辺環境 | 周辺の取引事例、需要など |
| 修繕状況 | 雨漏り、外壁、水回りなど |
| 残置物 | 家具・家電などの量 |
| 解体の必要性 | 建物を残して利用できるか、解体が必要か |
特に空き家では、長期間人が住んでいなかったことによる劣化が査定に影響することがあります。
雨漏りやシロアリ被害などがある場合は、修繕費が必要になるため、その分が買取価格に反映される可能性があります。
買取価格が市場価格より下がる理由
買取価格が仲介で売却する場合の市場価格より低くなるのは、不動産会社が購入後の費用やリスクを負担するためです。
不動産会社は空き家を買い取ったあと、必要に応じて修繕やリフォーム、解体などを行い、その物件を再販売します。
そのため、購入価格だけでなく、修繕費や販売活動にかかる費用、売却までの期間なども考慮して買取価格を設定します。
つまり、買取価格が市場価格より低いからといって、単純に「査定が安い」と判断できるわけではありません。
仲介による売却価格だけでなく、片付けや修繕にかかる費用、売却までにかかる時間なども含めて比較することが大切です。
買い取ってもらえないことがある空き家

買取であっても、すべての空き家を売却できるとは限りません。
再販売が難しい物件や権利関係に問題がある物件は、買取を断られたり、対応できる業者が限られたりすることがあります。
再建築不可の物件
再建築不可とは、既存の建物を解体した後に新たな建物を建てられない物件(土地)を指します。
建築基準法上の道路に2m以上接していない土地では、原則として建物の建て替えができません。
現在建っている建物をそのまま利用する方法などは考えられますが、土地の利用方法が限られるため、買い手を見つけるのが難しくなる場合があります。
再建築不可の空き家を売却する場合は、こうした物件の買取実績がある会社を探してみましょう。
越境や境界が未確定の物件
土地の境界が確定していなかったり、建物や塀、樹木などが隣地へ越境していたりする物件も、買取を断られる場合があります。
なぜなら、買い取った後の売却や活用でトラブルになるリスクがあるからです。
境界が不明確な不動産は測量が必要であり、越境があれば隣地所有者との調整を行わなければなりません。
測量や越境物の撤去などに費用や時間がかかることもあるため、買取を断られたり、査定額に影響したりする場合があります。
ただし、問題を解消せず現状のまま買い取る業者もあります。
境界や越境の問題がわかっている場合は、査定を依頼する段階で伝えておきましょう。
共有名義で同意が取れていない物件
共有名義の空き家全体を売却するには、原則として共有者全員の同意が必要です。
そのため、共有者の一人でも売却に同意していない場合、そのまま空き家全体を買い取ってもらうことは難しくなります。
自分が所有する持分だけを売却することはできますが、取り扱う業者は限られます。
共有者同士で売却について合意できない場合は、共有持分の買取実績がある会社への相談も検討しましょう。
みんなの実家じまいを運営するマークスライフでは、建物が残ったままの物件や共有名義の物件、山林・農地など、国の相続土地国庫帰属制度では対象になりにくい不動産も、引き取りのご相談を承っています。
引取料は物件ごとに算出しますので、売却が難しいと感じている方も、まずはお気軽にご相談ください。

買取業者に依頼してから引き渡すまでの流れ

空き家の買取は、一般的に以下の流れで進みます。
- 相談・査定
- 現地調査
- 条件確認
- 契約
- 決済・引き渡し
事前に流れを把握しておけば、必要な書類や確認事項を準備しやすくなります。
ステップ1:相談・査定を依頼する
まずは買取業者へ問い合わせて、査定を依頼しましょう。
この段階では、物件の住所や土地・建物の面積、築年数、現在の状態などを伝えます。
会社によっては、オンラインや電話などでおおよその査定額を提示してもらえる場合があります。
複数の業者へ相談して、査定額や対応を比較するのも方法のひとつです。
ステップ2:現地調査を受ける
次に、業者が実際に空き家を確認します。
建物の状態だけでなく、残置物の量や土地の形状、接道状況、境界なども確認されます。
遠方に住んでいる場合は、現地調査への立ち会いが必要か、立ち会いなしでも査定できるかを確認しておきましょう。
ステップ3:買取金額と条件を確認する
現地調査をもとに、正式な買取金額と売却条件が提示されます。
金額だけでなく、次の項目も確認しましょう。
- 残置物をそのまま引き取ってもらえるか
- 引き渡し日はいつか
- 解体や測量などの費用を誰が負担するか
- 契約不適合責任は免責になるか
- 売主が負担するその他の費用はないか
条件によって手元に残る金額は変わります。
査定額だけではなく、費用を差し引いたあとの金額まで確認しましょう。
ステップ4:売買契約を結ぶ
買取条件に納得したら、売買契約を締結します。
契約書では、売買代金や引き渡し日、費用負担、残置物の扱い、契約不適合責任などを確認します。
相続した空き家で名義が被相続人のままの場合は、引き渡しまでに相続登記などの手続きが必要です。
権利関係によって必要な手続きが変わるため、早めに買取業者や司法書士へ確認しておきましょう。
ステップ5:決済・引き渡しを行う
最後に、売買代金の決済と空き家の引き渡しを行います。
一般的には、残代金の受け取りと所有権移転登記の手続きを同日に進め、鍵などを買主へ渡します。
必要な書類や鍵を事前に準備し、契約で決めた条件に沿って引き渡しましょう。
遠方に住んでいて当日の立ち会いが難しい場合は、対応方法を買取業者や司法書士へ確認しておくとスムーズです。
買取を依頼するときの注意点

空き家の買取業者は、査定額の高さだけで選ばないことが大切です。
査定額に加えて、売主が負担する費用や引き渡し条件、契約内容まで確認したうえで比較しましょう。
査定額だけで決めない
査定額が高くても、その金額だけを見て業者を決めるのは避けましょう。
現地調査の結果によって正式な買取金額が変わったり、残置物の処分や測量などに売主側の費用負担が発生したりする場合があります。
たとえば、A社の買取価格が1,000万円、B社が950万円でも、A社では残置物の処分費や測量費を売主が負担し、B社では買取価格に含まれているケースも考えられます。
複数社を比較するときは、提示された金額だけでなく、売主が負担する費用を差し引いて手元にいくら残るのかまで確認しましょう。
契約前に確認しておきたい項目
売買契約を結ぶ前に、少なくとも次の項目を確認しておきましょう。
| 確認項目 | 確認する内容 |
| 買取金額 | 最終的にいくらで買い取ってもらえるのか |
| 残置物 | 家具や家電を残したまま引き渡せるのか |
| 解体・測量 | 必要になった場合の費用を売主と買主のどちらが負担するのか |
| 引き渡し | いつまでに、どのような状態で空き家を渡すのか |
| 売却後の責任(契約不適合責任) | 引き渡し後に雨漏りや建物の不具合などが見つかった場合、売主がどこまで責任を負うのか |
| 売主が負担する費用 | 買取金額とは別に支払う費用や、代金から差し引かれる費用があるのか |
| 契約解除 | 契約後に解除できる条件と、違約金などが発生するのか |
特に確認しておきたいのが、売却後に不具合が見つかった場合の扱いです。
不動産の売買では、契約内容と異なる不具合などが見つかった場合に売主が負う責任を「契約不適合責任」といいます。
買取では契約不適合責任を負わない条件で売却できる場合もありますが、契約によって扱いは異なります。
雨漏りやシロアリ被害などがあとから見つかった場合に、売主が責任を負うのか確認しておきましょう。
また、重要な条件は口頭だけで済ませず、契約書にも同じ内容が記載されているか確認することが大切です。
空き家の買取業者に関するよくある質問

ここからは、空き家の買取業者に関するよくある質問に回答します。
遠方に住んでいても依頼できますか?
遠方に住んでいても、空き家の買取は依頼できます。現地調査への立ち会いや契約・決済の方法は業者によって異なるため、現地へ行かずに手続きを進められるか確認しましょう。
家財が残ったままでも買い取ってもらえますか?
家財が残ったままでも買い取ってもらえる場合があります。ただし、残置物の処分費を売主が負担するなど条件が付くこともあるため、査定時に確認しましょう。
相続登記が終わっていなくても相談できますか?
相続登記が終わっていなくても、買取業者への相談や査定依頼はできます。ただし、相続した空き家を売却するには、原則として相続登記を行い、所有者の名義を変更する必要があります。
他社で断られた物件でも相談できますか?
他社で断られた空き家でも、別の業者なら買い取ってもらえる可能性があります。再建築不可や共有持分など、一般的に売却しにくい不動産を専門に扱う買取業者もあります。
買取価格に納得できない場合はどうすればよいですか?
買取価格に納得できない場合は、契約せずに複数の業者へ査定を依頼しましょう。買取金額だけでなく、残置物の処分費や測量費などの負担も含め、最終的に手元に残る金額で比較することが大切です。
まとめ

空き家の買取業者を選ぶときは、次の5点を確認しましょう。
- 空き家の買取実績があるか
- 物件のあるエリアに対応しているか
- 査定額の根拠を説明できるか
- 残置物や片付けに対応できるか
- 名義や権利関係について相談できるか
業者を比較するときは、査定額だけでなく、残置物の処分費や解体・測量などの費用負担、引き渡し条件まで確認することが大切です。
特に、相続した空き家や再建築不可、境界未確定、共有名義などの物件は、同じような条件の不動産を買い取った実績がある業者へ相談しましょう。
複数の業者から査定を受け、「いくらで買い取ってもらえるか」だけでなく「最終的にいくら手元に残るか」まで比較したうえで、売却先を決める必要があります。