空き家を活用したいものの、「貸すべきか、売るべきか」「何から始めればいいのかわからない」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
空き家の主な活用方法には、賃貸・売却・建物を使った事業・解体後の土地活用などがあります。
どの方法が適しているかは、建物の状態や立地、活用にかけられる費用によって変わります。
そのため、まずは空き家の状態や法的な制限、周辺の需要を確認することが大切です。
この記事では、空き家の活用方法と選び方、活用前に確認すること、必要な費用、放置するリスク、利用できる支援制度まで解説します。
空き家の活用方法は大きく3つに分かれる

空き家の活用方法は、大きく「貸す」「売る」「解体して土地を使う」の3つに分けられます。
どの方法を選ぶかは、建物の状態や立地、活用にかけられる費用などを確認して判断しましょう。
| 活用方法 | 特徴 | 向いているケース | ||
| 貸す | 所有したまま家賃収入を得る | 建物を使える状態で、賃貸需要がある | ||
| 売る | 売却して空き家を手放す | 管理や維持費の負担をなくしたい | ||
| 解体して土地を使う | 更地にして駐車場などに活用する | 建物の状態が悪いが、土地に需要がある | ||
貸す場合は家賃収入を得られる可能性がありますが、入居者がいない期間も固定資産税や管理費などがかかります。
売却すれば、売却代金を得たうえで、空き家の管理や維持費の負担から離れられます。
建物の老朽化が進んでいる場合は、解体して土地として活用する方法もあります。駐車場や貸地など、その土地の需要に合った使い方を検討しましょう。
活用方法を決める前に確認したい4つのこと

空き家の活用方法を決める前に、建物と土地の条件を確認しましょう。
先にリフォームや解体をすると、あとから希望する活用方法に向いていないとわかることがあります。
確認したいのは、次の4点です。
建物の状態と耐震性
まず確認したいのが、空き家そのものの状態です。
特に、1981年5月31日以前に建築された建物は、旧耐震基準で建てられている可能性があるため、耐震性を確認しておきましょう。
また、雨漏りやシロアリ被害、屋根や外壁の劣化などがある場合は、活用するために大規模な修繕が必要になることがあります。
「少しリフォームすれば貸せる」と考えていても、調査した結果、想定以上の費用が必要になるケースもあります。
活用方法を決める前に、建物の状態を確認し、必要な修繕費を見積もっておきましょう。
立地と周辺の需要
次に、空き家の立地に需要があるかを確認します。
賃貸として活用するなら、最寄り駅からの距離や周辺の賃貸物件、同じような戸建ての募集状況などを見ると、需要や想定賃料を把握できます。
駅から離れていても、学校や商業施設、幹線道路へのアクセスなど、地域によって需要を生む条件は異なります。
一方、周辺に同種の賃貸物件が少なく、空室も多い地域では、貸す前提でリフォームしても入居者が見つからず、費用を回収できない可能性があります。
かかる費用と回収の見通し
空き家を活用する場合は、最初にかかる費用だけでなく、その費用を何年で回収できるかまで考えましょう。
たとえば、500万円かけてリフォームし、毎月5万円の家賃収入を得る場合、単純計算では年間60万円の収入となります。
ただし、実際には固定資産税や管理費、修繕費、空室期間などもあるため、それらを差し引いて何年で費用を回収できるかを確認しましょう。
名義が親のままになっていないか
相続した空き家は、登記上の名義が親や祖父母のままになっていることがあります。
売却などを進める前に、登記簿で現在の所有者を確認しましょう。
特に相続人が複数いる場合は、誰が空き家を管理・活用するのかについても、あらかじめ話し合っておく必要があります。
貸して活用する方法

空き家を所有したまま活用したい場合は、建物の状態や立地に応じて、さまざまな貸し方を検討できます。
一般的な戸建て賃貸だけでなく、シェアハウスや民泊、店舗・事務所などとして貸す方法もあります。
ただし、用途によって必要な手続きや設備が変わるため、活用方法を決める前に確認しておきましょう。
戸建て賃貸として貸す
空き家を一般的な住宅として貸し出す方法です。
すでに人が住める状態であれば、大規模な工事をせずに貸し出せるため、初期費用を抑えやすい方法といえます。
一方、長期間空き家になっていた場合は、設備の故障や水回りの劣化などを確認する必要があります。
また、入居者が決まらない期間でも、固定資産税や建物の維持管理にかかる費用は発生します。
賃貸需要を確認したうえで、家賃設定や必要なリフォーム費用を考えることが重要です。
シェアハウス・シェアオフィスにする
部屋数の多い家であれば、複数の人が利用できるシェアハウスやシェアオフィスとして活用する方法もあります。
一戸建てをそのまま一人に貸すよりも、複数の部屋を区切って貸すことで、活用の幅を広げられる場合があります。
ただし、用途や建物の条件によっては、用途変更や消防設備などについて確認が必要になる場合があります。
たとえば、利用人数や建物の条件によって、消火器や自動火災報知設備、誘導灯などの設置を求められる場合もあります。
既存の住宅を別の用途として利用する場合は、建築・消防などの関係法令を事前に確認しておきましょう。
民泊として貸す
空き家を宿泊施設として活用する方法もあります。
住宅宿泊事業法にもとづく民泊として営業する場合は、都道府県知事等への届出が必要で、年間の営業日数には上限があります。
また、自治体の条例によって、営業できる区域や期間などが制限されている場合もあります。
そのため、民泊として活用したい場合は、住宅の所在地を管轄する自治体に、必要な手続きや営業上の制限を確認しましょう。
店舗・事務所として貸す
住宅としての賃貸需要がそれほど高くない空き家でも、通り沿いなど立地によっては、店舗や事務所としての需要が見込める場合があります。
たとえば、道路から建物が見えやすい場所や、駐車場を確保できる物件では、住宅とは異なる活用方法を検討できます。
ただし、用途地域によって建築できる用途が制限されているため、希望する業種で利用できるかを事前に確認する必要があります。
ここまでの内容をまとめると以下のとおりです。
| 貸し方 | 必要な手続き | 初期費用の目安 | 注意点 |
| 戸建て賃貸 | 賃貸契約など | 小〜中 | 修繕・入居者募集が必要 |
| シェアハウス | 建築・消防関係の確認など | 中〜高 | 用途や設備の確認が必要 |
| 民泊 | 届出など | 中〜高 | 営業日数や自治体条例に注意 |
| 店舗・事務所 | 用途・法令の確認など | 中〜高 | 用途地域や業種による制限がある |
売って手放す方法

空き家を自分で管理し続けることが難しい場合は、売却して手放す方法もあります。
売却方法には、一般的に不動産会社を通して買主を探す「仲介」と、不動産会社に直接買い取ってもらう「買取」があります。
仲介で買主を探す
仲介は、不動産会社に依頼して一般の買主を探してもらう方法です。
買主が見つかるまで時間がかかる場合がある一方、市場価格に近い金額で売却できる可能性があります。
売却活動を始める前に、不動産会社から査定を受け、現在の市場でどの程度の価格が見込めるのか確認しておくとよいでしょう。
また、仲介で売却する場合は、原則として引き渡しまでに家財を片付け、家を空ける必要があります。
不動産会社に買い取ってもらう
買取は、不動産会社などの買主に直接物件を買い取ってもらう方法です。
仲介のように一般の買主を探す期間がないため、売却までの期間を短くできるのがメリットです。
また、物件によっては、残置物が残った状態でも査定や売買を進められる場合があります。
「片付けてから売る」と決めつけず、まず買取業者に相談して、現状のまま売却できるか確認する方法もあります。
ただし、仲介と買取では売却価格や条件が異なるため、どちらが適しているかを比較して決めることが大切です。
解体して土地を活用する方法

建物の状態が悪く、修繕しても活用が難しい場合は、建物を解体して土地として利用する方法があります。
更地にして売却するほか、駐車場やトランクルームなどとして土地を活用できます。
更地にして売る
建物の老朽化が進んでいて、修繕費をかけても買主が見つかりにくい場合は、建物を解体して更地として売却する方法があります。
建物の状態に左右されず、土地そのものを売却できることがメリットです。
ただし、解体にはまとまった費用がかかります。
木造住宅の解体費用は、1坪あたり3万〜4万円程度がひとつの目安です。たとえば30坪の住宅なら、建物の解体だけで90万〜120万円程度になります。
ただし、建物の構造や立地、廃棄物の量によって費用は変わります。アスベストの除去やブロック塀・庭木などの撤去が必要なら、追加費用がかかることもあると考えましょう。
「更地にすれば高く売れる」とは限らないため、解体前に不動産会社へ査定を依頼し、解体費用を差し引いても売却するメリットがあるのか確認しておきましょう。
駐車場やトランクルームにする
建物を解体したあと、駐車場やトランクルームなどとして土地を活用する方法もあります。
土地の規模や立地によっては、新しく建物を建てるより初期費用を抑えられます。
また、将来売却する場合も、アパートなどを建てる活用方法と比べて撤退しやすいことがメリットです。
一方、建物を解体すると、住宅が建っている土地に適用される固定資産税の住宅用地特例が外れ、税負担が増える可能性があります。
解体する前に、解体費用だけでなく、活用後に見込める収入や固定資産税まで含めて収支を確認しましょう。
活用に向かない空き家の見分け方

空き家のなかには、土地の条件や修繕費によって、活用方法が限られるものもあります。
リフォームや設備投資をしてから気づくことがないよう、費用をかける前に土地と建物の条件を確認しましょう。
再建築不可・接道義務を満たしていない
建物を建て替える場合、原則として敷地が建築基準法上の道路に2m以上接している必要があります。
接道義務を満たしていない土地では、現在の建物を解体すると、新たな建物を建てられません。
既存の建物を利用できても、建て替えが難しいことで活用方法や売却先が限られる可能性があります。
老朽化した空き家を解体する前に、再建築できる土地なのかを自治体や不動産会社などに確認しておきましょう。
修繕費が回収見込みを上回る
空き家を貸す場合は、修繕にかかる費用と、家賃から得られる収入を比較しましょう。
たとえば500万円をかけてリフォームし、家賃が月5万円なら、年間の家賃収入は60万円です。単純計算でも500万円を回収するまで8年以上かかります。
実際には、空室期間や固定資産税、管理費、追加の修繕費などもあるため、回収期間はさらに長くなる可能性があります。
費用を回収できる見込みが低い場合は、無理に貸すためのリフォームをせず、現状での売却や解体も含めて比較しましょう。
空き家を放置した場合のリスク

空き家を放置すると、建物の老朽化が進むだけでなく、行政から改善を求められたり、固定資産税の負担が増えたりする可能性があります。
すぐに活用する予定がなくても、定期的な管理を続けることが大切です。
管理不全空家等・特定空家等に指定される
管理されていない空き家は、市区町村から「管理不全空家等」や「特定空家等」と判断される場合があります。
たとえば、建物が倒壊するおそれがある、衛生上有害な状態になっている、周囲の生活環境に悪影響を与えているといったケースです。
管理不全空家等では、市区町村から指導を受けても改善されない場合、勧告を受けることがあります。
さらに危険性などが高い特定空家等では、助言・指導や勧告に加え、命令や行政代執行の対象になります。
空き家をすぐに活用・売却しない場合でも、定期的に建物や敷地を確認し、必要な管理を続けなければなりません。
固定資産税の住宅用地特例が外れる
住宅が建っている土地には、固定資産税の課税標準を軽減する住宅用地特例があります。
しかし、管理不全空家等または特定空家等として市区町村から勧告を受けると、その敷地は住宅用地特例の対象から外れます。
小規模住宅用地では、200㎡以下の部分について固定資産税の課税標準が6分の1になる特例があるため、適用されなくなると税負担が6倍に増える可能性があります。
また、建物を解体して住宅用地ではなくなった場合も、この特例は適用されません。
空き家を残すか解体するかは、管理費や解体費だけでなく、解体後の固定資産税も含めて判断しましょう。
空き家の活用に使える支援制度

空き家の活用や処分では、自治体の補助金を利用できる場合があります。
主な支援制度は次のとおりです。
| 制度の種類 | 対象になりやすい費用 |
| 解体費補助 | 老朽化した空き家の解体費 |
| 家財整理費補助 | 家具・家電などの処分費 |
| リフォーム補助 | 空き家の改修・修繕費 |
| 空き家バンク関連 | 登録物件の改修・家財処分費など |
対象となる空き家や補助率、上限額などは自治体によって異なります。
また、空き家バンクへの登録や、工事を始める前の申請を条件としている制度もあります。先に工事や解体をすると補助を受けられない場合があるため注意しましょう。
利用できる制度は、空き家がある市区町村の公式サイトで「空き家 補助金」「空き家 解体 補助金」などと検索するか、空き家対策の担当窓口へ確認してください。
空き家の活用に関するよくある質問

ここからは、空き家の活用に関するよくある質問に回答します。
親名義のままでも貸せますか?
親名義の空き家を勝手に貸すことはできません。
相続した空き家なら、所有者や相続人を確認し、必要な手続きを済ませてから賃貸を進めましょう。
遠方の空き家でも活用できますか?
遠方の空き家でも活用できます。
自分で管理するのが難しい場合は、不動産会社や管理会社へ管理を委託する方法があります。
活用と売却で迷ったときは、どう決めればよいですか?
建物の状態、賃貸需要、修繕費、管理負担を比較して判断します。
家賃で費用を回収できる見込みが低い場合は、売却も検討しましょう。
活用をやめたくなった場合はどうなりますか?
活用を始めたあとでも、売却などへ切り替えられます。
ただし、賃貸中は入居者との契約があるため、希望する時期に空室で売却できるとは限りません。
相続した空き家を売る場合に使える控除はありますか?
一定の要件を満たせば、譲渡所得から最高3,000万円を控除できる「相続空き家の3,000万円特別控除」を利用できます。
適用条件があるため、売却前に確認しましょう。
まとめ

空き家の活用方法は、大きく「貸す」「売る」「解体して土地を使う」の3つに分けられます。
どの方法が適しているかは、建物の状態や立地、周辺の需要、必要な費用によって異なります。
まずは建物の状態や耐震性、名義、再建築の可否などを確認したうえで、活用方法を考えましょう。
特に、賃貸として活用する場合は、リフォームにかけた費用を家賃収入で回収できるかまで考えることが大切です。
一方、修繕費や管理の負担が大きい場合は、売却したほうが負担を減らせることもあります。
空き家をどうするか迷っている段階で、一つの方法に決める必要はありません。
不動産会社などに相談し、貸した場合の家賃と売却した場合の価格を確認してから、自分に合った方法を比較してみましょう。