実家の片付けを始めたものの、「物が多すぎて途中で止まってしまった」「何から手をつければよいのかわからない」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
長年暮らしてきた実家には多くの物が残っているため、一度に片付けようとすると大きな負担になります。
まずは片付ける範囲を決め、残す物と手放す物を整理しながら、順番に進めることが大切です。
この記事では、実家の片付けが大変な理由と具体的な5つの手順を解説します。
親が片付けに同意しない場合の対処法や費用の目安、業者の選び方も紹介するので、何から始めればよいか迷っている方は参考にしてください。
実家の片付けはなぜ大変なのか

実家の片付けが難しいのは、単に物が多いからだけではありません。
親との意見の違いや、遠方に住んでいることで作業できる日が限られることも、片付けを難しくする原因です。
まずは、実家の片付けが大変になりやすい3つの理由を確認しましょう。
物の量が想像以上に多い
実家には、想像していた以上に多くの物が残っていることがあります。
長年住んできた家には、普段使っている物だけでなく、押し入れや物置、納戸などに長期間使っていない物も保管されています。
家具や家電のような大きな物だけでなく、衣類や食器、書類、写真など、ひとつずつ残すか処分するか判断しなければならない物も少なくありません。
「1日あれば片付くだろう」と考えて始めると、物の量や判断することの多さに圧倒され、途中で作業が止まってしまうことがあります。
一度に家全体を片付けようとせず、場所を区切って少しずつ進めることが大切です。
親と意見が合わない
親が住んでいる実家を片付ける場合、親と子どもで「残したい物」の基準が異なることがあります。
子どもから見ると不要に見える物でも、親にとっては思い出が詰まった大切な品かもしれません。
子どもの判断だけで処分すると、「勝手に捨てられる」と感じ、片付けへの協力が得られなくなる可能性もあります。
親が存命の場合は、何を残したいのかを確認しながら進めましょう。
処分するか迷う物はその場で結論を出さず、いったん保留にする方法もあります。
遠方だと作業できる日が限られる
実家から離れた場所に住んでいる場合、片付けのために帰省できる日が限られます。
帰省のたびに少しずつ作業することになるため、家全体を整理するまでに時間がかかることもあるでしょう。
また、ごみの分別ルールは自治体によって異なり、粗大ごみなどは収集日や申し込み方法が決められている場合があります。
帰省してから手続きをすると、滞在中に処分できないかもしれません。
帰省する日が決まったら、自治体の分別ルールや粗大ごみの申し込み方法、収集日を事前に確認しておきましょう。
実家の片付けはどこから始める?

実家の片付けでは、いきなり大量の物を捨てるのではなく、まず貴重品や重要書類を確保しましょう。
必要な物を誤って処分すると、あとから相続や不動産の手続きで困ることがあります。
重要な物を確保したら、範囲を区切って少しずつ仕分けていきましょう。
貴重品と重要書類を先に確保する
実家の片付けを始める前に、貴重品や重要書類を探して、ほかの物と分けて保管しておきましょう。
特に、次のような物は処分する物に混ざらないよう注意が必要です。
| 先に確保しておきたいもの | 確保しておきたい理由 |
| 通帳・印鑑 | 口座の確認や相続手続きで必要になる |
| 保険証券 | 契約内容や保険金の確認に使う |
| 年金手帳 | 年金関係の手続きで必要になる場合がある |
| 不動産の権利証・登記関係書類 | 売却や名義変更の際に必要になる |
| 建築確認済証・検査済証 | 売却や増改築などで必要になることがある紛失しても再発行されない |
| 有価証券 | 財産の確認が必要になる |
| 貸金庫の鍵 | 貸金庫の確認や手続きに必要になる |
| その他の契約書・重要書類 | 契約内容の確認や解約、名義変更などに使う |
なかでも、建築確認済証や検査済証は原則として再発行されません。
不動産を売却したり、増改築したりするときに確認が必要になることがあるため、見つけたらほかの書類と分けて保管しておきましょう。
まず「残す・手放す・保留」に分ける
重要な物を確保したら、残った物を「残す」「手放す」「保留」の3つに分けます。
すべての物をその場で残すか手放すか決める必要はありません。迷った物はいったん「保留」にして、あとから判断しましょう。
最初から完璧に仕分けようとすると、ひとつの物を判断するだけで時間がかかり、作業が進まなくなることがあります。
3つの箱やスペースを用意しておけば、迷ったときも作業を止めずに進められます。
ただし、保留する物が増えすぎると片付かないため、「次の帰省時にもう一度確認する」など、見直す時期も決めておきましょう。
部屋ごとに区切って進める
実家全体を一度に片付けようとせず、部屋や収納スペースごとに区切って進めましょう。
たとえば、「今日は1階の押し入れだけ」「今回は納戸の右側だけ」のように、具体的な範囲を決めます。
1回で終わる範囲を決めておけば、途中で作業をやめることになっても、片付けかけの物が家中に広がりにくくなります。
片付ける前後に写真を撮っておくのもひとつの方法です。作業の進み具合を確認しやすくなり、離れて暮らす家族にも実家の状況を共有できます。
実家の片付けの手順5ステップ

実家の片付けは、思いついた場所から始めるのではなく、一定の順番で進めるとスムーズです。
基本的には「方針を決める→重要な物を確保する→仕分ける→処分する→保管する」の5ステップで進めます。
ステップ1:親と方針を決める
最初に、実家をどのように片付けるのか、親と方針を決めましょう。
確認しておきたいのは、主に次の3点です。
- 何を残したいか
- いつまでに片付けたいか
- 片付けにかかる費用を誰が負担するか
親が存命であれば、本人の意向を確認してから進めることが大切です。
すでに相続が発生している場合は、相続人同士で片付けの方針を共有しておきましょう。
家を売却する、賃貸に出す、引き続き誰かが住むなど、片付け後の実家をどうするかが決まっている場合は、その予定も共有しておくと必要な作業を決めやすくなります。
ステップ2:貴重品・重要書類を確保する
次に、通帳や印鑑、保険証券、不動産関係の書類など、貴重品や重要書類を探して確保します。
前章で紹介した物を中心に、家の中を一通り確認しましょう。
見つかった物はほかの荷物に紛れないよう、決めた場所にまとめて保管します。
現金や貴金属なども、処分する物に混ざらないよう、この段階で確認しておきましょう。
ステップ3:エリアを決めて仕分ける
重要な物を確保したら、片付けるエリアを決めて仕分けを始めます。
最初は、普段あまり使っていない部屋や収納など、日常生活への影響が少ない場所から始めると進めやすいでしょう。
生活に必要な物が置かれている場所から始めると、片付けの途中で日常生活に支障が出ることがあります。
「残す」「手放す」「保留」に分けながら、一つずつ判断していきましょう。
一度に広い範囲へ手を付けず、「今日は押し入れ1つ」のように作業する範囲を決めるのがポイントです。
ステップ4:手放すものを分別して出す
仕分けが終わったら、手放す物を自治体のルールに従って分別します。
燃えるごみや資源ごみだけでなく、粗大ごみなど、種類によって処分方法が異なります。
また、エアコン・テレビ・冷蔵庫・冷凍庫・洗濯機・衣類乾燥機など、自治体の通常のごみ収集では処分できない家電もあります。
粗大ごみは事前の申し込みが必要な自治体もあるため、片付けを始める前に処分方法を確認しておきましょう。
状態のよい家具や家電、趣味の品などは、買取を依頼する方法もあります。
ただし、すべての物が売れるとは限りません。買取先を探すことに時間をかけすぎず、処分する物との線引きを決めておきましょう。
ステップ5:残すものの保管先を決める
最後に、残すと決めた物をどこで保管するのか決めます。
実家に残すのか、自宅へ持ち帰るのか、トランクルームなどを利用するのかを検討しましょう。
思い出の品などは、写真に残してから実物を手放す方法もあります。
「残す」と決めるだけで終わらせず、置き場所まで決めることが大切です。
保管できるスペースを先に決めておけば、残す物が増えすぎるのも防ぎやすくなります。
親が片付けに同意しないときの対処法

親が実家の片付けに同意しない場合は、無理に進めないことが大切です。
子どもには不要に見える物でも、親にとっては思い出があったり、まだ使うつもりだったりすることがあります。
本人の了承を得ずに処分すると、「勝手に捨てられた」という不満につながり、その後の片付けに協力してもらいにくくなるかもしれません。
まずは家全体を片付けようとせず、親が「手放してもよい」と判断できる物から始めましょう。
また、「物を捨てよう」と持ちかけるのではなく、「転ばないように廊下だけ整理しよう」「必要な書類を探しておこう」など、目的を具体的に伝える方法もあります。
思い出の品は、写真に残してから実物を手放すのも選択肢のひとつです。
一方、親が残したい物を無理に減らす必要はありません。置いておける場所を決め、その範囲に収めてもらう方法もあります。
片付けの目的は、単に物を減らすことではありません。親がこれからも実家で暮らすのであれば、安全性や暮らしやすさを優先し、本人が納得できる範囲から少しずつ進めましょう。
実家の片付けにかかる費用

実家の片付けにかかる費用は、自分で行うか、業者に依頼するかによって大きく変わります。
自分で片付ける場合は、ごみ処理手数料や粗大ごみの回収費用などが中心です。
業者に依頼する場合は、人件費や車両費、処分費などが加わります。
| 費用の内訳 | 主な内容 |
| ごみ処理費 | 自治体のごみ処理手数料など |
| 粗大ごみ | 粗大ごみの回収・処分費用 |
| レンタカー | 自分で搬出する場合の車両費 |
| 人件費 | 業者に依頼する場合の作業費 |
| 車両費 | 業者による搬出・運搬費 |
| 処分費 | 不用品の処分にかかる費用 |
| ハウスクリーニング | 清掃を依頼する場合の費用 |
自分で片付ける場合
自分で片付ければ、業者に支払う人件費や車両費などを抑えられます。
一方、ごみの分別から搬出、処分まで自分たちで行わなければなりません。
主にかかるのは、ごみ処理手数料や粗大ごみの回収費用、処分場まで運ぶためのレンタカー代などです。
遠方の実家へ何度も通う場合は、交通費や宿泊費もかかります。
業者へ依頼する場合と比べると支出を抑えやすいものの、作業に必要な時間や体力まで含めて判断しましょう。
業者に依頼する場合の目安
業者へ依頼する場合は、物の量や作業人数、搬出のしやすさなどによって金額が変わります。
総務省行政評価局の調査によると、遺品整理サービスの見積もりは、10万円以上40万円未満の価格帯に多く分布していました。
ただし、これらの事例は統計的な手法で収集されたものではありません。
また、遺品整理サービスの調査であり、実家の片付け全般の相場を示した数字でもありません。
そのため、10万〜40万円程度はあくまで費用を考える際の参考として捉えましょう。
実際の金額を知るには、複数の業者から同じ条件で見積もりを取り、作業内容と総額を比較することが大切です。
参考:総務省行政評価局「遺品整理のサービスをめぐる現状に関する調査結果報告書」
費用が高くなるケース
実家の片付け費用は、物の量や建物の状況によって高くなることがあります。
たとえば、次のようなケースです。
- 物の量が非常に多い
- 大型家具や家電が多い
- エレベーターがない
- 前面道路が狭く、トラックが入れない
- ごみが大量に残っている
- ごみ屋敷の状態になっている
同じ広さの家でも、物の量や搬出経路によって必要な作業人数や時間は変わります。
見積もりを依頼するときは、家の広さだけでなく、物の量や階数、エレベーターの有無、トラックを停められる場所なども伝えておきましょう。
売る・貸す・解体するなら、片付けはどこまで必要か

実家をどこまで片付けるかは、その後の使い道によって変わります。
すべて処分してから考えるのではなく、売却・賃貸・解体などの方針を決め、必要な範囲だけ片付けるほうが余計な費用を抑えられます。
| 方針 | 片付けが必要な範囲 | 確認すること |
| 買取 | 残置物を残したままでも進められる場合がある | どこまで業者側で処分できるか |
| 仲介 | 原則として引き渡しまでに家を空ける | 残置物の扱いを不動産会社に確認する |
| 解体 | 家財の一部を解体工事とあわせて処分できる場合がある | 家財を含めて依頼できるか |
| 賃貸 | 借り手に引き渡せる状態まで整理する | 修繕や清掃がどこまで必要か |
たとえば、不動産会社による買取では、家具や家電などが残っていても、そのまま査定や売却を進められる場合があります。
仲介で売却する場合は、引き渡しまでに売主側で残置物を撤去するのが一般的です。
ただし、買主との合意によって扱いが変わることもあるため、不動産会社へ確認しましょう。
解体する場合も、家の中にある物をすべて自分たちで処分する必要があるとは限りません。解体業者によっては家財の処分もあわせて相談できます。
賃貸に出すなら、物を撤去するだけでなく、借り手が生活できるよう清掃や修繕が必要になることもあります。
注意したいのは、片付けにお金をかけたからといって、その費用の分だけ売却価格が上がるとは限らないことです。
売却や解体を考えているなら、先に不動産会社や解体業者へ相談し、「何を自分たちで片付ける必要があるのか」を確認してから作業を始めましょう。
片付けを頼める業者の種類と選び方

実家の片付けは、依頼する業者によって対応できる作業が異なります。
「家財をまとめて整理したい」「不用品を運び出したい」「片付け後に清掃したい」「そのまま売却したい」など、目的に合わせて依頼先を選びましょう。
遺品整理業者・不用品回収業者・ハウスクリーニング・不動産会社
主な業者の種類と、依頼できる内容は次のとおりです。
| 業者の種類 | 頼めること | 向いているケース |
| 遺品整理業者 | 仕分け・搬出・処分など | 家の中をまとめて整理したい |
| 不用品回収業者 | 不用品の回収・搬出など | 処分する物が決まっている |
| ハウスクリーニング | 室内の清掃 | 片付け後に家をきれいにしたい |
| 不動産会社 | 売却相談・査定、提携業者の紹介など | 売却までまとめて考えたい |
不動産会社は片付け自体を行わないことが多いものの、提携する業者を紹介してもらえる場合があります。
実家の売却を考えているなら、片付ける前に不動産会社へ相談するのもひとつの方法です。
前章で紹介したように、買取では家財を残したまま売却できる場合もあります。先に売却方法を決めれば、自分で処分する物を減らせるかもしれません。
一方、片付けだけを依頼するなら、どこまで対応してもらえるのかを確認して業者を選びましょう。
特に家庭から出るごみの収集・運搬には、自治体の許可などが必要です。「不用品回収」を掲げているだけで判断せず、家庭ごみを適切に回収できる業者か確認してください。
見積もりで確認しておきたいこと
片付け業者に依頼する場合は、見積もりの金額だけでなく、何が作業に含まれているのかを確認しましょう。
特に、次の項目は事前に確認しておくことが大切です。
- 作業範囲はどこまでか
- 仕分けまで対応するのか
- 搬出だけの依頼なのか
- 追加料金が発生する条件
- 買取できる物の扱い
- キャンセル料の有無
見積書に「作業費一式」などとしか書かれていない場合は、具体的な内訳を確認してください。
また、電話や写真だけで見積もりを出す業者では、当日に物量が想定より多いとして追加料金が発生する可能性もあります。
家全体の片付けを依頼する場合は、できるだけ現地を確認してもらったうえで見積もりを取りましょう。
トラブルを避けるための注意点
片付け業者を選ぶときは、料金だけで決めず、必要な許可や処分方法も確認しましょう。
家庭から出るごみを収集・運搬するには、市区町村の一般廃棄物収集運搬業の許可を受けるなど、適切な方法で対応する必要があります。
片付けを依頼する会社自身が収集・運搬しない場合は、回収をどの業者が担当するのか確認しておくと安心です。
また、契約前には見積書や契約書を読み、追加料金が発生する条件やキャンセル料も確認してください。
総務省行政評価局の調査でも、遺品整理サービスについて、作業後の追加請求や解約時のキャンセル料などに関する相談事例が報告されています。
複数の業者から見積もりを取り、金額だけでなく作業内容や処分方法まで比べたうえで依頼先を決めましょう。
参考:総務省行政評価局「遺品整理のサービスをめぐる現状に関する調査結果報告書」
実家の片付けに関するよくある質問

ここからは実家の片付けに関するよくある質問に回答します。
実家の片付けはどれくらいの期間がかかりますか?
数日で終わる場合もあれば、半年以上かかる場合もあります。
物の量や作業人数、実家までの距離によって異なります。部屋や収納ごとに範囲を決めて進めると効率的です。
実家が遠方でも片付けられますか?
遠方でも片付けられます。
帰省前に自治体のごみ収集日や粗大ごみの出し方を確認しておきましょう。帰省する時間を確保できない場合は、業者への依頼も選択肢です。
片付けの費用は誰が払うのですか?
片付け費用を誰が負担するかに、一律の決まりはありません。
親が存命なら本人と相談し、相続後なら相続人同士で負担方法を決めておきましょう。
業者に全部任せてもよいですか?
実家の片付けを業者にまとめて依頼することもできます。
ただし、通帳や印鑑、不動産関係の書類などは事前に確保しておきましょう。作業範囲や追加料金も契約前に確認してください。
片付けと売却はどちらを先に進めるとよいですか?
売却を予定しているなら、片付ける前に不動産会社へ相談しましょう。
買取では、家財が残った状態でも売却できる場合があります。先に売却方法を決めると、必要な片付けの範囲を判断しやすくなります。
まとめ

実家の片付けは、一度に終わらせようとせず、順番を決めて少しずつ進めることが大切です。
まずは親や家族と方針を決め、貴重品・重要書類を確保してから、「残す・手放す・保留」に分けて整理しましょう。
迷う物は無理に処分せず、保留にしてあとから判断しても問題ありません。
また、実家の売却や解体を考えている場合は、片付ける前に不動産会社や解体業者へ相談しましょう。先に今後の使い道を決めることで、必要な片付けの範囲がわかり、余計な手間や費用を抑えやすくなります。